先日、お付き合いのある環境省の方と、四国の国立公園で提供し始めたアクティビティを体験しに行った。海外でも国立公園は最大の観光コンテンツだ。今回の訪問先も、四国の素晴らしい自然景観や人々の営みの歴史に触れることの出来る充実した体験であった。ターゲットは欧米旅行者で、同行したアメリカ人にも極めて好評だった。
しかし、運営者の方が言っていた。「FITの旅行者を狙ってWEBサイトも作り予約サービスにも載せているが、ほとんど予約が入らない」。
プロダクトを作っても売れない。
その地域は旅先としての認知が低く、このエリアをフィールドとしたアクティビティが知られる機会が少ない。当然ながらWEBや予約サイトへの掲載だけでは売れない。
こうした現実は地方のあちこちで聞く。
一方で、米国の旅行会社の知り合いが言っていた。「最近、岡山の倉敷のことを耳にすることが増えてきた。伝統的な日本建築が残る街並みはシンプルに日本を感じられる良い場所だ。ただ、個々の施設やアクティビティに関する情報が少ない上に、簡単に予約できないものが多く、機会を逃している。」
つまり、やるべきことは、地域の認知を高めることと地域の事業者が作るプロダクトを旅行者が予約できる状態にしていくことになる。
予約できる状態とは、1つはWEBサイトで個人でも予約できるようになっていること。ダイレクトブッキング層が増える中にあっては欠かせない。もう1つが、認知がまだまだ低い地方にあって有効な方法だ。商品を造成する旅行会社(ツアーオペレーターやランドオペレーター)に、「パッケージ商品を作る」、「テーラーメードで手配する」ために必要なアクティビティ等の情報や手配手段を持たせていくことである。彼らがメジャーになりつつある日本で、ニッチコンテンツを探し始めている背景もある。
せとうちDMOでは、欧米各国に「Representative(通称レップ)」を置き認知施策と送客対策を連動させながら行なっている。成果は着実にメディアの露出数と認知度の増加という形で現れている。
また各国のレップは日々の活動の中で、旅行会社へ地域のプロダクトに関する詳細な情報をインプットし造成を促す。商品を販売する旅行代理店へのエデュケーションも施していく。こうした活動を通じ選りすぐりのメディアや旅行会社をせとうちに招請するのだが、その数は毎年80社を超える。さらに、今年3月からはEラーニングサービスを開始。WEB上でセルフトレーニングができるもので、エントリー数はすでに500人を超えた。
これらの活動により、プロダクトを手配・提供できる旅行会社等の数は着実に増えている。目指すべきはそれぞれの国において、こうした旅行会社等を一定規模数確保し、安定して地域のプロダクトが売れる状態を整えることだ。認知が更に高まれば、WEBサイトによる個人手配も増えるだろう。
こうした大きな動きを作り出していく事が、DMOが行うマーケティングなのだろうと思う。