ディスティネーションマーケティングの現場から / Vol.2
欠かせないプロモーション
文:村木 智宏(株式会社Intheory 代表)
先日、意見交換した政府系金融機関の方が言っていた。瀬戸内エリアで進むさまざまな投資に国内外から注目が集まっているが、振り返ると「せとうち」という地域の呼称は、ここ10年で馴染みのあるものとなった。効果的なプロモーション施策のもとで需要が高まり、新たなビジネスが動き始めた。その結果として、新たな投資案件が生まれてくるようになったのだろう。
効果的なプロモーション活動を通じたデスティネーションとしてのブランディングが観光地としての成長に欠かせないということを実証したと言える。
観光庁の重点事業。高付加価値の観光地づくりを進めるためのモデル地区が指定され、全国14地域で活動が進む。地区の規模や成果の程度において違いはあるが、相応の規模の予算が割り当てられている。指定期間は2年が経過し、残りは今年を含めてあと3年となる。そろそろ成果を上げていくべき段階に入っている。
国が求める成果というのは、一義的には、高付加価値旅行者の来訪を増やすこと。そのためには、観光地としてのブラッシュアップや不足する宿や交通手段の充実を図りつつ、旅行者の来訪を促すマーケティング施策を行う必要がある。
地域の強みやユニークネスとターゲットを見極め、認知施策と流通施策を施していく。認知や来訪への意欲を高める上で効果の高いメディアで多くの露出を獲得する。
旅行者の送客を担う旅行会社、とりわけ海外の造成・送客のディシジョンメーカーとなるツアーオペレーターや販売を担う旅行エージェントなどへのセールス活動など、マーケティングの基本に沿って活動していくことが欠かせない。
こうしたマーケティングの活動は、地域によってターゲットや訴求するポイントの違いはあるものの、基本は何も変わらない。
一方、各地域の取組を見たときに、その取組の内容にムラやモレがあることに注意しておく必要がある。とりわけ、プロモーション施策の希薄さである。
言わずもがな、旅行者は認知がなければ来訪することはない。しかも“1000人が認知して一人来るかどうか”。認知したとしても、行くべき価値のあるデスティネーションなのかを問われる。こうしたいくつものハードルを越えて来訪を促すには、メディアの力が欠かせない。世界には権威と言われるメディアがある。各国の旅行者に影響力を持つメディアも多い。こうしたメディアで露出した記事に触れることで、旅行者の気持ちは動くもの。そのメディア露出の質と量の確保が絶対的に欠かせないことから、高コストになりがちな広告記事ではなく、情報としての価値がより高まる編集記事による露出を基本とするのもポイントだろう。
最終的に旅行者の送客は旅行会社が行うものであるのも事実であるが、その旅行会社もニーズがない地域を旅程に組み込むことはしない。売れる見込みのないツアーを作ることはない。兎にも角にも、質と量の両面でメディアでの露出に取り組むことが欠かせないことを忘れてはいけない。
(合同会社Tourism Exchange Japan ウェブサイト掲載コラムより転載)
